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2008年 09月 15日

中国の切り絵 と 私の名は紅

何年か前にいただいたもの。
素晴らしいなあ、と思ったものの、紙バサミに入れてしまっていました。
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オルハン・パムクの「私の名は紅」 は 細密画師の殺人事件から話が展開していきます。
16世紀のイスタンブールを舞台にした、この620頁に及ぶ長編小説を読み返して、2度目の途中まで、文中に出てくる細密画を、先の中国の切り絵のような絵を頭に描いてしまいました。
実は2005年に、世田谷美術館で、「イスラム美術展」を見ていたにも関わらずです。

文中に語られる、イスラムの細密画の描き方、
たとえば
“突然、頭に何かが浮かんで、何がなんだかわからない中に、手が筆を掴んで、なんびとも想像できないような素晴らしい馬を、空中に上がった左前足から描き始めていた。脚からすぐ胴につながり、それから勢いよく一気に自信を持って二本の弧を描いた。誰かが見ていたら、絵師ではなくて、この巧みさは、書家だといっただろう。自分で勝手に動いていくわたしの手は、細密画師の頭の手のようで、うっとりして眺めていた。、、、、、”

読み返している中ごろ、どうしても細密画が知りたくなって、ネットでいろいろ検索をして、イスラムの細密画がどんなものだったか思い出すことが出来たのです。

しかし、私はこのオルハン・パムクの本を読み切るまでは、私の潜在意識を持ち続けたいと、探し出した細密画を封印しました。
この感覚は、例えば原作本を読むとき、この主人公はあの俳優だな、と自分で配役する楽しさが、後になって映画化された時、自分のイメージと異なるキャスティングをされたときの幻滅感を避けるのに似ています。
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もし、この本を読む前に、イスラムの細密画を知りたかったら、リンクさせていただいている
「写真でイスラーム」さんで見ることができます。


イスラム教では偶像崇拝が禁じられていますが、それぞれの時代を支配する王様は、宝石などと同じくらい、きれいに彩色された挿絵のある本も宝物だったのですね。
しかし、そうした挿絵を描く細密画師は、職人としてしか扱われなかった、勿論工房はいくつかあって、それぞれに棟梁がいたのですが。
それは、例えば日本の浮世絵にも似ていることでしょう。職人としては存在しても、芸術ではなかった。それぞれに描かれる顔、衣装は色・柄は違っても、キャプションが無ければ、これが誰なのか分からないのです。

15-6世紀になるとヨーロッパの写実絵画が伝わって来て、イスラムの細密画師は揺れます。
この物語には、そのころの細密画師が、自分のスタイルを持つこと、あるいは持たないことの、神への信仰もからめ、葛藤が大きなテーマとして書かれています。

とにかく、2回目を読み終えたので、じっくりとイスラムの細密画とその歴史を堪能するつもりです。

私的には 「カラ」 はやっぱりオマー・シャリフ以外には思いつかない、若い頃のね。

by yumiyane | 2008-09-15 00:04 | books | Trackback | Comments(2)
2008年 09月 09日

読み返す本

教科書や画集、料理本は別として
“読み返す本”があります。

覚えているところでは
「グレート・ギャツビー」:フィッツジェラルド

「ギリシャ神話を知っていますか」:阿刀田 高

「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」:塩野七生

とか

そして今、2度目が終わる本
「わたしの名は紅」:オルハン・パムク

続けて2度読んだのは、チェーザレ と 私の名は です。
チェーザレ・ボルジアは、七生さんが惚れられているせいもあって、すごく魅力ある男性に書かれています。結局戦いに敗れて死んでしまうのだけれど、善き人と悪しき人との評価が分かれた歴史上の人物を、彼女が調べていくうちに、言われているような冷酷非道な悪人ではなかったと、マキャベリの言葉も借りながら、素顔にせまっていく様は大変興味深いです。
チェーザレが侵略していく土地も、イタリアで訪れた場所を思い起こさせて2度読み返しても面白い本でした。
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アインシュタインは自閉症だった!?
彼はとても頭の回転が速く、幼いころからいろいろなことを考えていたのだそうです。
言葉に出して言うころには、頭の中で次の発想が繰り広げられ、結局しゃべることが追い付かない。

そんなしゃべることが追い付かない所を、ひとつひとつとりあげて、人の感情の織りを書き出したのが
「わたしの名は紅」
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表紙を見開いたところです。
物語は16世紀後半のオスマン・トルコ帝国の都、イスタンブールでの9日間の出来事なのですが、読んでいると、どこが9日間なのだと思わせるものがあります。

この本については、明日にでももう一度。

きっとみなさんにも読み返す本があるのでしょうね。

by yumiyane | 2008-09-09 14:11 | books | Trackback | Comments(10)