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2008年 11月 09日

Normandie Arromanches

この夏、北京オリンピックで沸き立っていた頃、NHKスペシャルで、レイテ島の決戦のドキュメンタリーを観ました。

60年以上経って、無残に死んでいった仲間のことをやっと語るときが来て、涙を流す老人にとっては、ついこのあいだのことのように細かいことが語られました。

昨年、父が亡くなって、語り継いでもらうことのできなくなった寂しさと悔いが残って、
“語り継ぐ”ということの大切さを少し感じたのです。

フランスはノルマンディーに行く、という計画の中で、当初ここに行くことは考えていませんでした。しかし、この語り継いでくれる人の居なくなる不安、を感じたいと思い、訪ねることにしたのです。

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11月のノルマンディーは、予想していたとおりの、どんよりとした雲の多い、ときおり小雨の降る肌寒い天気でした。

ここアロマンシェは、連合軍の中でも、イギリス軍の上陸地だったようです。
近くのCreponという村に宿を取ったのですが、4時にはもう薄暗く、慌ててチェックインしたあと、海岸までやってきました。

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海岸の遠くに、いくつもいくつも鉄のかたまりが、岩のように並んでいます。

ノルマンディーの海岸沿いの町ならどこでも売っている絵葉書があります。
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1944年6月6日に始まった、ドイツ軍との攻防戦は、2ヶ月でこれらの町に壊滅的な打撃を与えます。
64年経って、町はすっかり立ち直り、ぱっと目にはそのような戦禍は残っていませんが、ここに来れば、目の当たりに出来ます。
海岸や沖にある鉄の塊(上陸時のボート)も、あえて撤去せずに、あの日を忘れないように置いてあるのだそうです。
向こうから、フランス、イギリス、ノルマンディー、EUの旗です。
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南イタリアでは、日本は三国同盟を結んだ味方でした。連合軍だろうが、三国同盟だろうが、若い命が何故何万も散らなければならなかったのか。

私に出来ることは、ここで命を落とした多くの若者に感謝しながら、ebianを海に撒くことだけでした。




イギリス軍の上陸地、アロマンシェの海岸には、博物館の前に墓碑があって、そこに赤い花輪がおいてあります。
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これはポピーの花で作った輪です。
イギリスでは、戦勝記念日とかに、遺族も元軍人もこのポピーの花輪を首にかけて、集まるのだそうです。
ポピーの花はイギリスでは停戦の象徴、第一次大戦の激戦地で咲いていた花なのだとか。
エリザベス女王のお母さんも、慰霊式にはポピーの花を飾って参加するので、退役軍人に人気があるのだとイギリスに行っていた友達から聞きました。
なるほど、みんなポピーの花輪です。

by yumiyane | 2008-11-09 22:24 | France | Trackback | Comments(12)
Commented by hanamamann at 2008-11-09 23:27
お帰りなさい。まずは無事に帰って来て良かったです。
戦争の傷跡は日本の広島、長崎、沖縄だけでなく、世界中にあるのですね。 毎日食べられる事が幸せな事だと思わなければ。
yumiさんらしい旅行記を楽しみにしていますよ。
Commented by mai-obachan at 2008-11-10 04:51
お帰りなさい!
『プライベート・ライアン』の映画の上陸シーンを思い出しました。
こうしている今でもまだ戦争をしている国がある、、、。
自分の日常が戦争のない日常であるということだけでも、とても恵まれた環境なのですよね。
Commented by ぐらんまさん at 2008-11-10 09:57 x
おかえりなさぁ~い。
ゆっくりでいいです。いっぱいお話聞かせてね。
Commented by shinn-lily at 2008-11-10 10:11
おかえりなさ!
いきなりノルマンディーですね。
「史上最大の大作戦」の映画、主題歌が流行りましたよね、よく覚えています。
だから、やっぱり私もノルマンディーはつらい場所というイメージを持っています。
実際の話、聞かせてくださいね。
Commented by Miwanosuke at 2008-11-10 12:36 x
お帰りなさ~い!長旅お疲れ様でした。
楽しいお話を聞かせて頂けるのをワクワクしながら待っておりました。
ゆっくりお休みになられてから、少しずつ聞かせて下さいね。
Commented by yumiyane at 2008-11-10 23:39
:hanamamannさん、無事に帰ってきました。今回は交通違反も、具合が悪くなることもありませんでした。
天気は今ひとつでしたが、それでも青い空の写真も撮れました。
少しづつアップするので見てください。
Commented by yumiyane at 2008-11-10 23:43
:maiさん、こんにちは。
プライベイトライアンを出かける前に見たいと思っていましたが、出来ませんでした。これからレンタルビデオでも借りて観ようと思っています。
あの撮影シーンにあった米軍のお墓のあるところには、日が暮れて行けませんでした。初めての土地は、夜移動するのはちょっと困難なのでね。
でも、ノルマンディーというところは、まだまだ第二次世界大戦の傷跡が多く残っているところですね。
日本は国内で戦われたのは沖縄くらいですから、日本国民に戦争の悲惨さが残っていないのはそのせいかと思われました。
Commented by yumiyane at 2008-11-10 23:46
:shinn-lilyさん、今回もいろいろ印象に残る場所がありました。
アロマンシェは、そのひとつです。
思ってたとおり、何か重いものが残るところです。
天気が悪かったのもあると思いますが。
6月6日には世界中から遺族や同士が集まるそうですよ。
Commented by yumiyane at 2008-11-10 23:48
:Miwanosukeさん、こんにちは。
何から話したらいいのか、ちょっと頭を整理しているところです。
フランスは国が広いので、まだまだ深いところがありますよね。
でもパンはどこで食べてもおいしかったですよ。
また写真アップするので見てくださいね。
Commented by yumiyane at 2008-11-10 23:50
:おっと、ぐらんまさん、こんにちは。
ぐらんまさんは韓国にいらしていたのですね。
私はアジアはまだ未体験です。行くなら韓国かな、って思ってるところ。
ノルマンディーとパリをレポートしますので、見てくださいね。
Commented by miriyun at 2008-11-16 09:50
ワ~~~ッ!上陸艇!!
ノルマンディー上陸作戦の遺物がみられるとはおもっていませんでした。すごいです!
上陸艇そのものがいくつも鉄の塊となって歴史を語り続けているのですね。

日本軍の残した戦車などが太平洋の島々に残っていますが、この上陸艇はさらにインパクトがあります。まさかフランスの海岸でこれを残しているとは思ってもいませんでした。
 でも考えてみれば、フランスは降伏して占領されていた戦争の記憶を忘れないようにするのでしょう。そして私たちも愚かな歴史を繰り返すことがないようにしていかなくてはと思わされます。
 貴重な写真を見させていただき、ありがとうございました。
Commented by yumiyane at 2008-11-16 23:36
:miriyunさん、私も行ってみるまでは、こんなことになっているとは思っていませんでした。どこかにたくさんの兵士のお墓がある、とは聞いていましたが。
でも行ってみれば歴然としているよ、という話もあって、なるほど、と思いました。
撤去するのも大変な数のてつの塊です。
このあとエトルタをアップしますが、その海の美しさと、この海のつらさは対照的ですね。


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